夢とかいうものにぶっ潰されちまって。
こちらのブログではあちらさんでは場違いになるようなちゃんとした考えの備忘録でまとめていこう。
本当は、いろいろと記事のストックはあるんだけどキャンペーンってことで、取り急ぎこの記事を最初にさせていただこう。
さて、今回は「未来予想図」っていうものについて書いていく話らしい。
『自分たちの夢について考えられる生徒を育てたい。』
一人の少年の話をしましょう。
少年は中学生のころ、自分の夢という作文を書き始めようとして何もおもいつきませんでした。
小さい頃までは警察官という夢や消防士という夢、大工という夢、様々な夢を語っていた夢多き少年でしたが、様々な経験を重ねていくうちに自分が「努力のできない人間」という意識を持つようになったのです。
それからか、スポーツをやってもうまくいかないので放り投げ、ピアノなどの習い事も通う回数が減っていき途絶え、その少年から努力という文字はより遠く彼方へと消えていったのです。
それでも作文は書かなければならない、少年は唯一身近で知っている職業「教員」について書きました。
「歌手になりたい」などの小さな承認欲求なども全部詰め込んで、「歌って踊れる教員」といった形で書いたのでした。
そう書くと、親は喜び先生たちも「将来は同僚だな!」とほほ笑んでくれました。
だれも「歌って踊れる」の部分に触れることはありませんでしたが、自分は夢を持っていないのに周りの人々は嘘で塗り固められたその夢を支えてくれたのです。
そこでついた小さな嘘が少年の人生を縛ったとも気付かずに。
その嘘を語っている間の少年はとても心が楽でした。
夢と向き合う必要がなくなったからです。
自分には才能がない、その上足りないものを補う努力もすることができない。夢というものに挑戦しても仕方ない。
だから夢に真摯に向き合っていない時間はとても楽な時間でした。
その少年はそれなりに利口で、高校選びも無理に挑戦せずに地元の国立教育大学に入るのに問題ないレベルの高校に入学することに決めました。
高校に進学しても少年の心に変化はありませんでした。
中学の時にふとついた嘘は少年の心に深く食い込み、教員になる夢を持たせてたのです
高校生の頃にもなると勉強も難しくなりついてこれなくなる友人も周りにちらほら見られるようになりました。
少年は勉強が苦手なわけではなかったので、周りの友人に教える機会も増えるようになっていきました。
少年は教えている間とても心が楽になりました。
「教える」という行為は教員の専売特許で、それを好きと言っている間は嘘であった教員への夢を肯定しているような気がしたのです。
そのまま希望通りの進路に進み、なんとなく教育大生になりました。
しかし、少年の心に変化はありません。
幸いなことに、教員への情熱がとてもある友人が周りにいなかったためか、夢を認識しないで済んだのです。
何もない少年は焦りから大学ではとにかくたくさんのことを経験しようと思います。
たくさんの授業をとり、たくさんのイベントに参加し、たくさんのアルバイトを経験し、たくさん遠出をすることにしました。
貴重な経験をすることができました。
多少視野が広くなったり、知人もたくさん作ったりしました。
しかし、少年の考え方に大きな変化が訪れることはなかったのです。
劇的な出会いをしたわけでもない、取り返しのつかない失敗をしても仕事の大変さに魅力を感じることもない。
やりたいことは見つからなかったのだ。
時間は経ち、就活の時期が来てしまった。少年は何も考えていない。
そのまま教員採用試験を受けることに決めた。嘘を塗り固めるのは得意だ。
自分が中学生のころからつき続けてきた嘘なのだから、真実に聞こえるはずだ。
受け答えは完璧だった。すべての質問に詰まることなく完璧に答えられた。
しかし、結果は不合格だった。
少年の中身のなさは完全に露呈していた。
少年は夢という言葉に食い殺されたのだ。中身のない夢に。
今の心と向き合うことを余儀なく迫られた少年は、今一度人生を思い返すことにした。
自分の考えのなさから涙が出てきた。
自分には何もない。
それを埋めるつもりもなく、他人に自分の中身を求めていた。
関わってきた人たちの中には、僕のような人もいた。
けれど、夢と向き合っている人から僕は目を背けていた。
まぶしかった。けれど、うらやましかった。
中身のない僕でもそうなれるのであれば、なりたかった。
けれど、今までの人生の歩みではどうすることもできない。
せめて、中身のない僕でも夢を応援することはできる。
そう決めた。自分の夢を他人に託すという逃げの選択肢を選ぶことにした。
僕のような生徒を作りたくない。
何となく生きることは悪いことではない。
けれど、小さなチャンスがあるなら挑戦してほしい。
後悔してほしくない。そんな思いを大切にしてほしい。
これは逃げの選択肢だけど、君たちには同じ轍を踏まないでほしい。
大きな諦めではなく、小さな希望を選べる生徒を育てたい。
それが僕(少年)の未来予想図だ。
たくさん本を読んで、たくさん世界を知ってもらうために一緒に考えていきましょう。